悲しみ

あまりにも大きな悲しみを抱えていると日常で出会う小さな悲しみを軽んじてしまって、そのバチが当たったのか、そこらへんに適当に放っておいた悲しみに躓いてこけた。『よく生きる』ことは大切だし、その営みは貴い。だけど、よく生きようとしすぎると人間は死んでしまう。よってまずは生きなきゃいけない、当たり前のことである。しかしそこまで考えて気づく。一番苦しいのは『ただ生きる』ということであり、『よく生きる』という概念はその苦しさから解放されるために人間が発明した薬または毒なのだと。