「女子高生って死ぬじゃん?」

昔読んだ『とりあえず地球が滅びる前に』(ねむようこ)の主人公が言ったセリフを思い出す。卒業はこの世の終わり、卒業したら女子高生の自分は死んでしまう。あーわかるなぁと当時女子高生だった私はひりひりしてしまって、そして今もそのひりひりは続いてる。女子高生の自分の屍を乗り越えて女子大生になったけど、それももうすぐ終わりだ。

学生の終わり。平成の終わり。それらはつまり私の若さの終わりを囁いている気がした。湧きあがった気持ちをあえて言葉にするなら、「死」に対する恐怖、それだけだった。

 

 

身体の死のこと。心の死のこと。

女子大生の自分という存在の死のこと。

私の中にはたくさんの小さな命があって、そのそれぞれの死のことを考えてしまうし、他の人の中にも同じ数だけの死を見てしまう。

死が怖い。怖くて怖くて、でも絶対に逆らえないから絶望してしまう。

 

 

何十もの時計の音に囲まれて生活するような日々で無気力に過ごした。ベッドの上で一日中うずくまった。終わりのない真っ暗闇を抜け出したくて泣いた。

 

 

そんなことを繰り返してようやく見つけた唯一の突破口は

今を生きることだった。

 

 

死を恐れていた私が本当に恐れていたのは生。そのことにようやく気づいた。

今を生きるとは、生きることを恐れないということ。自分にとって大事なものを頭の中で並べあげて、できる限り全部大事にしていこうと決めた。私にとって今を生きるとはそういうことだった。

 

 

 

春に父と旅行に行く約束をした。特に仲がいいわけではないけど、父は喜んでるようでうれしい。

家の空いてる部屋を使って読書会を開くことにした。本棚にクリスマスの飾りつけをして、チラシも作ろうと思う。

近所のお世話になっている人にささやかながらプレゼントをした。お返しがたくさん返ってきてしまって、むしろ与えられているけど。

 

 

大事なものを大事にする。

そうやって生きればきっと死は怖くない。

何が正しいかなんてわからないけど、

ゴールのない道を歩むためには信念という方位磁石がいる。

信じて、一歩ずつ前に進みたい。