段差

息を切らしながら言ったこと
清潔な一言にまとめられて
またひとつ
ぼくは消えた

「世界にたった一人」という
わずかな誤差
この狭い狭い箱のなかで
出会って笑って
メダカみたいに泳ぐ十数年

横一列に歩きながらおしゃべり
左足だけ歩道にのっけて
右足は落ちてた
顔は笑ってた
数㎝の段差が怖かった
おかしいって笑うでしょ
またぼくはそこに立ってるんだ