関わり

ある大きなことが誰かを傷つけても、悲しませても、その先の人生をまるごと変えてしまっても、それがその人のすべてではないんじゃないか。悲しい過去に支配されない道を歩むことができる素質は誰にだってあるんじゃないか。

そんな理想論は恵まれた環境で育ってきたからこそできる話だ、と言われたら何も言い返せない。奢った考えだ、と言われたら自信がなくなる。確かに生まれてからずっと当たり前のことを当たり前に享受してきた私にはどんなに考えても及ばないことはたくさんあるだろう。親が考えて努力して与えてくれたものを後ろめたく思う必要はないけれど、生まれの不平等さに対して自分のなかでずっと折り合いがつかない。

それでもさ。

だから関わらないっていうのは違うんじゃないか。私にはきっとわからないことだらけだけど、何もしなかったら一歩も近づけないまま終わってしまう。なんらかの形でその人の毎日をよりよくする手伝いがしたい。少しでも求めてもらえるなら精一杯応えたい。そのための方法は学ぶし、いつでも注意はする。でも悲しい過去を抜きにしたその人にも関わっていたい。支援者と被支援者という前に、私たちはそもそも人と人であって、その関わりは常に双方向的なものだ。

私は私の人生しか生きていけないし、あなたもあなたの人生しか生きていけない。
でもそれは喜びである、そう思える瞬間を生み出せればとただ願いながらこの秋、行動を始めた。