待ち合わせ

昨日見た/夢はエクレア/夏は嫌い
手は温かいです/ここにいます


待ち合わせがうまくできない。
人と約束をすること、しかるべき時間にしかるべき場所に行くこと、待たせたときの焦りなど苦手な点は数えきれない。そのなかでも特に苦手なのが待っているときの顔と相手を見つけたときの反応だ。
一度、超ド定番の待ち合わせスポットで周囲の人々を観察していたことがある。特に誰とも約束していないのにただ立っていた(私はこのように苦手を克服しようとして方向性を間違うことがよくある)。
彼らはスマホをいじっていたり、時計をチラチラ見たり、電話をかけたりしていた。みんなすごく上手になんてことない顔をしていた。もしもテレビの取材に「今何をされてるんですか?」と聞かれて「人を待ってるんですよ」と答えたとしてもお茶の間の誰もが納得するだろう。完璧な待ち顔だ。
対して私はおどおどしている。スマホをいじっていればよいのだが下を向いた状態で突然「よっ待った?」なんて声をかけられたらめちゃくちゃびっくりしてしまう。私は驚き屋なのだ(なんだろうそれ)。
なのでできれば周囲を見回していたいのだがそれもどきどきする。私はいまだに相手を見つけたときの反応の正解がわからない。心の赴くままに反応すればいいのはわかっているのだが、「私たちは待ち合わせをしている」という事実の圧力に負けぎくしゃくしてしまう。結局いつも必要以上にテンションが高くなってしまったり、反対にものすごく素っ気なくなったりする。社交に問題がありすぎる。
そうこう考えているうちに周りの人は次々と誰かと出会い、消えていく。あの人たちはどこへ行くんだろう。誰もが笑顔で足取りは軽い。しかし待ち合わせとは本来そういうものなのだ。こんなにたくさんの人がいるなかで自分を見つけてくれる誰かがいる。それは確かに喜ばしいことだなぁと、思わず私も微笑む。
あれ、でも私はここで何をしていたんだっけ。