遺されて

大事な人を亡くしてから、心の機微や細やかな所作を捉えられなくなった。怒らなくなり、こだわらなくなり、諦めるようになった。それがいいのか悪いのか、強さなのか弱さなのか、正しいのか間違いなのかはわからない。すべてかもしれない。ただなんだか私の…

その価値を知らない人からしたら「そんなこと」じゃないですか。でも人は「そんなこと」で生きようと思ったり、死のうと思ったりする。今、何十億の歴史を経て何十億の個体が息をしています。確かに人の命は取るに足らないものであり、したがってすべてのも…

仕事

埃くさい小さなオフィスで野暮ったい制服着ながらパソコンとにらめっこしてるのが私。そんでこれが私の仕事。地味ですねって?反論はいたしません。誰が見たって地味ですもの。今は沖縄の取引先へメールの返信を催促する文章をどこすかどこすか打ち込んでる…

だから

正直言えば、身体の線の内側にある自分はなくなっても大して惜しくない。そりゃ今すぐは嫌だけど、近い将来にはきっと。じゃ何が惜しいかって、身体の線からはみ出した自分。ずっとずっとこれからも広がっていくもの。千年万年かけてその経過を見ていたいけ…

次の日

私が死んだ次の日に駅前で自転車が盗まれた。 女子高生が川沿いを走っていた。 太った猫がくしゃみをした。 空き缶が車に潰された。 交番のお兄さんが暇そうだった。 サラリーマンが道路でしゃがんだ。 祖母に手を引かれた少女が空を見上げた。 私が死んだ次…

おいしそう

夕飯でイクラをご飯にかけた。 白いご飯の上できらきらと光るイクラを見るだけで涎が出てくる。 おいしそう。 でもこれをおいしいものとして認識している国は世界にどれぐらいあるんだろう。 オーストラリアの友人は魚卵を気味悪そうに見ていたことを思い出…

イノセント

恋愛の仕組みがもう少し単純で、より長く見つめられた者が勝利するというゲームだったら、私は三年間負け続けていて対戦相手は自覚もなく勝ち続けていた。 今私の前にいる因縁のライバル、木月の瞼はほぼ閉じかけていて、知らない人が見たら眠そうとしか思わ…

2018

喪中につきご挨拶を控えさせていただこう…と思って閉じてた訳ではなく、諸般の事情につき遅い挨拶となりました。あけきってますね、今年もよろしくお願いします。 私は行事や節目が大好きで、大晦日や元日なんか毎年えらい盛り上がって祝ってたんですが今年…

目標

このブログを続けていて、書きたいことと書けることと書けたものってどれも違うなとつくづく思う。それらをそれぞれ目標と現状と結果という言葉に置き換えれば、以前は、現状に甘えて出した結果から目標を組み立てていくなんてだめだ!と思っていたけど、最…

凛と立つ造花の蕾の美しさ 悲しいなんてわがままだよね 時が止まった蕾は永遠に咲かない。だけどそれを悲しいと思うのは私の都合だな。咲かないことを選んだ蕾の存在を人生をかけて肯定したい。

祖母

昨日、祖母が亡くなった。 実の娘である母と叔母が白い顔で救急車に乗ったあとしばらくして泣きながら電話を掛けてきてそのあと怒濤、「どとう」という発音がぴったりあてはまるような怒濤の事務手続きをなんとかこなしながら泣いては落ち着いて泣いては落ち…

Facsimile

こっそりとつぶやいてみる「ファクシミリ」 ファクシミリ(英語: facsimile) 本の電波法施行規則では「ファクシミリ」は「電波を利用して、永久的な形に受信するために静止影像を送り、又は受けるための通信設備」と定義されている(電波法施行規則2条1項23…

帰省

東京も、高いところから見ると空が広いんだ。高速バスの大きな窓から見えるビル群は相変わらず身体に刺さったら痛そうな形状だけど、紫ともピンクともつかない夕暮れの光を吸収していつもより素朴な佇まいをしていた。鼻がつくぎりぎりまで窓に近寄って首の…

卒論

卒論終わった。 帰り道にアイス買った。 もっとテンションあがるかと思ったけど、そんなこともないな。 さびしい気持ちのが強い。 もうこれで学校に行く理由もほぼない。 結局就活で誰にも聞かれなかったけど 私なりに頑張ったし、楽しかったよ。 今度、話聞…

インターネット

にくい人もいとしい人もいいねしたい 深い夜はたまにやさしい 心が動くってことは、伝えられる人がいるってことは、素敵なことだよ。一人部屋にいたってどこかで誰かが生きてるってことを感じられるのがインターネットのいいところだな。眠気と疲れでぼおっ…

ヒール

「なんで結婚しないの」 「英語どれぐらい話せるの」 「就活で人生決まるからね」 「地方の零細企業でしか働けなさそう」 「世の中って君が考えてるほど甘くないよ」 私にとって取るに足らないことを、たいしたことだと押し付けられるのが嫌いです。だから私…

問い

性格が暗いから。仕事が特殊だから。病気だから。 自分が納得しやすい物語に変えて消費しないで。遠い遠い国での出来事では決してない。「絶対」も「永遠」もないってとっくに気づいているでしょう。 考えてみれば自分の死はたった一回。だけど他人の死はこ…

おいしい

「かわいい」も「おもしろい」も「楽しい」も吊し上げられる今の世の中で、大声で言ってもいいのは「おいしい」だけになってやしないか。 普段は日曜日の公園のすみっこで持参の箱の上に立ち、身振り手振り持論を訴えている(つもりの)私も、たまには頭から…

指の間

ふたゆびで直角作れどカーブする 今日も私は少しだけ「何か」 水かきと呼ばれる部分を見ていると、何か別の生物だった名残を感じる。水かきのある私は人間じゃない何かとしての命をほんの数%持っているんじゃないかしら。

言葉

個人によって定義が異なるものに同じ言葉があてがわれたばかりに、本当だ嘘だ正解だ間違いだ言い合うのはもう疲れたな。言葉は便利だけど、利便性の影に隠れてしまったもののことは胸に留めておくべき。辞書に書いてある定義と自分の中の定義が一致している…

透明

読んでいるというより「通っている」気がする。 今村夏子という場所に通っている。 ドアを叩き、あいさつをし、向かい合って座る。 寝ころべない緊張感、それでいて誰にも言えないことを言える空気感。 また来ます、と言って帰る。 次の予定はしばらく先。だ…

わがまま

「どう、最近は」 「そうだねぇ」 「お父さんとお母さん、体調は?」 「うーん、良くはならないかな。まさか二人ほぼ同時にああなっちゃうなんてねぇ」 「そっか」 「まぁ私が今できることは二人が一日でも長く生きられるよう介護するってだけだから」 「そ…

希望

幸せもしくは不幸せが人生のすべてだと信じていられたらよかったのに。なんで私はまだ生きているんだろう。その疑問が頭から離れなくて重い。リスカも見栄も下心もつまりは生きたいってことだと思えばまぶしい。せめて家族が生きている間は生きよう、そう思…

土地

私は、与えられた土地の上に立っている。 日本人、女、偏頭痛、黒髪、中流階級。 私にとって生きるとはそういった土地の上に立つことである。 身体が家で、人生は庭。 季節と共にうつろう庭の存在は寂しくうれしい。 手入れをしたりサボったりを繰り返しなが…

晴れ

あんな夢を見ても晴れ 今日君の好きなバンドが解散したよ またこの世界で目覚めてしまった。そのことに気づいて毎朝2秒、息を止める。 あちらのお母さんから連絡があって、あの子の日記に並ぶ私の名前を教えてくれた。 「なんでだろうね」。呟いた声が響いて…

ばかばかしいこと

最近、生活のなかにばかばかしさを取り入れようと意識している。 意識することでもないんだけど、根が暗いうえに変に真面目なのでそうでもしないと忘れてしまう。 積極的に物真似をする。 お笑い番組をYouTubeで観る。 何秒うがいできるか競う。 高圧洗浄機…

更新

「なんか…すごかったですね。」 「うん、濃かったね」 「私あの方たちが話してること正直あまりよくわかってないです」 「ねー大きな物語とかオルタナティブ音楽とか、ずいぶん盛り上がってたね」 「でも先輩は話ふられても答えられてたじゃないですか、すご…

人気

これ、おもしろかった。 gigazine.net 人気には2つの種類があり、SNS上で人気を集めようとするばかりに人は間違った方の人気を求めがちであると研究者が指摘。(中略)人気には「人物として好ましい」がゆえに友人に好かれるタイプの人気と、「何らかの方法…

天国

天国を作ろうと決めた。 私はこの先の人生で 君にとっての天国を作ろうと決めた。 死んだ先にしかないなんて言わせない。 地上で天国は作れる。 私の作る天国には天使は飛んでないし いい匂いのする花も咲いてない。 ばかばかしい冗談ばかりかもしれないし …

「女子高生って死ぬじゃん?」 昔読んだ『とりあえず地球が滅びる前に』(ねむようこ)の主人公が言ったセリフを思い出す。卒業はこの世の終わり、卒業したら女子高生の自分は死んでしまう。あーわかるなぁと当時女子高生だった私はひりひりしてしまって、そし…