針・羽・秘密

ねむい。

さっきから世界が上下して何度も机に頭をぶつけている。

いけない、隣の席は愛しの雪野さんだからな、よだれとか垂らせない。

雪野さんは今日も一つ結び。髪の生え際の産毛がよく見えて最高だ。

一週間前に席替えしてから雪野さんが話しかけてくれたのは一度きり。

「はみ出してるよ」

ハミダシテルヨ。一瞬何のことだかわからなかったが、

雪野さんが無表情で指さす先は俺の机の前脚だったので、

他の机と並ぶ位置がずれてるということだと理解した。

俺は「おう」とか「うお」とか喉から出た声を返し

急いで机を正しい位置に動かした。

顔をあげたときには雪野さんは自分の席に座って本を読んでいた。

ハミダシテルヨ、はみだしてるよ、はみ出してるよ。

雪野さんの言葉にはいつも胸がどきどきする。

 

アドレナリンが出てきたのか目はさっきよりも冴えて

黒板の文字を読めるくらいには意識がはっきりしてきた。

先生は楕円のなりそこないみたいな図を熱心に書いていて

甲高い声で「ここ、ものすごぉーく大事です」と言った。

俺はぼんやりと、この前の修学旅行で行った

新宿のビルみてえな形だなと考えていた。

今の時刻は11時20分。

うっそだろまだ5分しか経ってないのか。

昼休みまであと40分。

俺たちは若いんだからさ、「無限の可能性」なんだからさ、

こんなクソみたいな数学じゃなくて

もっと人生の役に立つことをやらせてくれませんかね。

そう思ったけど、勉強以外に人生の役に立つことってなんだと聞かれたら

よくわかんなかった。

 

しかたないので時計の針に念力を送る。

俺のエンジェル、羽の生えた小さな雪野さんがえいっえいっと針を

パンチしたり踏んだりして時間を早めるところを想像する。

か、かわいい。

現実の雪野さんは絶対にそんなかわいこぶった声を出しはしないけど

俺はぶりっこな雪野さんもありなんじゃないかなと思うんだ。うん。

ねえ雪野さん、と横目で顔を伺おうとすると

「こんにちは」

とフェアリー雪野さんが顔の前に飛んでいた。

ひっ…と声にならない声をあげるとフェアリー雪野さんはくすっと笑い

「またはみ出してるよ」

と言う。俺は身を乗り出して机の前脚を確認したが別にずれていない。

「違う違う、シャツの裾」

またおかしそうにくすくす笑う。

ああ雪野さんって笑うとこんな顔なんだ。いつも無表情だからわかんなかった。

にやけながらシャツの裾をズボンにしまう。

「ゆき、のさん、でいいのかな?」

「そう、ユキノサンです。でも下の名前で呼んでもいいよ」

えええええええええええええええええええ

絶叫したい気持ちを抑えて俺はクールに言った。

「ああ確か、きく、だよね?」

確かも何もない。名簿票が貼られていたら自分の名前より先に探す文字列だ。

雪野紀久。

初めの授業だとのりひさって名前の男だと思われるから嫌なんだよね、と

以前、数少ない友達に話しているのを盗み聞きした。

それ以来、もし俺がサラッときくって呼んでみたら

「この人…わたしのこと知っていてくれてる…キュン」みたいな展開に…

なるかなー!!いやそんな勇気は!!!と部屋の中で歩き回りながら考えていた。

そんな俺が!

雪野さん本人から下の名前で呼ぶ権利をじきじきに頂くとは!!

…いやちょっと待て、本人?

俺は少し冷静になった。

「ええと、紀久…さん。君は誰なのかな?」

「私は紀久だよ。今あなたも言ったじゃない」

「いやごめん、聞き方が悪かった。俺が思うに君は少し、その、

いつも見ている紀久さんよりサイズが小さめというか、

ていうか羽が生えてるっていうか」

「そうね。紀久は紀久でも私は紀久の意識なの」

「意識?」

「物体としての紀久はあなたの隣に座っているでしょ、私はその意識」

ええと、つまり……よくわからない。

「まぁいいの。別にわかってもらわなくても」

紀久さんはつまらなそうに俺の机の端にちょこんと座ってそっぽを向く。

ああ、さっきまで笑ってくれていたのに。

何か気を引けることを言えないか、俺の全神経よ、結集しろ。

「絵が上手だよね、紀久さん」

「別に上手くない」

くっ…だめか。折れそうになる心をなんとか支えながら俺は続けた。

「前に一度、紀久さんと美術室で会話したの覚えてる?

俺、あの日忘れ物しちゃって放課後取りに行ったんだよ。

美術部だよね、紀久さん。一人で大きなキャンバスに一心に何かを描いてて

圧倒されてしばらく声かけられなかった。

本当はこっそり近づいたつもりだったんだよ、

でも結局邪魔しちゃったみたいで、ごめん。

俺、美術とかよくわかんねえけど紀久さんの絵、すごくきれいだと思ってさ。

緊張して、あの時わけわかんないことたくさんしゃべって、えっと、ごめん」

何を伝えたかったのか忘れてしまった。

謝って相手に媚びようだなんて、姑息な大人のやることだぞ、俺!

小さい紀久さんは聞いているのかどうかわからない様子で

足をぶらぶらさせながらどこか遠くを見ていた。

あの日、俺は雪野さんを好きになった。

雪野さんの絵はたぶん抽象画と呼ばれるもので、

くすんだ淡い青で描かれた円がいくつもいくつも重なる背景に、

女とも男ともとれない中性的な人影が一筋、青い涙を流していた。

その絵の意味するところが全然わからなくて、でもどことなく切なげなその絵に

雪野さんの秘密を見てしまったような気になった。

黙ってこちらを見る雪野さんの視線に何か話さなきゃと焦って

俺は大好きなJUDY AND MARYの話を一方的に始めた。

「BLUE TEARSって曲があってね、歌詞の一節に『青い涙が胸につたり、うつろな瞳は崩されて』ってあるんだけど、雪野さんの絵を見てそれを思い出したよ」

雪野さんは自分の絵に視線を移し、「私もその曲知ってる」とだけ言った。

「え、うそ、まずジュディマリ知ってるの?俺らの世代で知ってるやつなかなかいなくてさ、俺YUKIになってからも好――」

「嘘の涙は青いから、BLUE TEARS、らしいね」

「え」

そういう意味だったのか。

よく知らないまま語っていた自分が恥ずかしくなった。

そして雪野さんの絵に対してマイナスな発言をしてしまったようで

この上なく焦った。手に汗をかきすぎてかゆくなった。

途端に気まずくなって「じゃ」と言ってそそくさと帰ったのだけど

胸の鼓動はおさまらず、一晩寝て起きたらすっかり

雪野さんのことが頭から離れなくなっていた。

しかしよく考えると双方にとっていい思い出ではない話をなぜ

このタイミングでしてしまったのか。俺はあほか。

でも小さい紀久さんは羽をいじりながら

(いじるたびに鱗粉みたいな粉がきらきらと空中に舞った)

「覚えてるよ、それ」と少し微笑んだ。よかった、機嫌を直したようだ。

安心して俺は続ける。

「あのあと家に帰ってしばらく考えてたんだ」

「そうなの」

「あえて涙に青を使ったの?」

紀久さんはそれには答えず微笑んだままで机の端を歩き始めた。

ゆっくり、ゆっくり、10歩目を踏み出したところでようやく

「絵は、嘘かな?」

とだけ言った。

 

 

 

ドンッ

世界が暴力的な音で揺らぎ俺は反射で起き上がった。

ん?起き上がった?

見ると目の前にはさっきまで楕円を描いていた先生が立ち

「この時期に居眠りなんてものすごぉーくいただけないことですよ林くん」

とお得意の甲高い声で言った。

寝ていたのか、俺。

ぼんやりした頭のまま消え入りそうな声で「すみません」とだけ言い

恥ずかしさで頭をふせた。

先生はカッカッとヒールを響かせながら教壇に戻り、

「みなさん林くんが午後は居眠りしないよう見張っといてあげてくださいね」

とキンキン話し、みんながくすくす笑う中で4時間目は終了した。

 

やっぱりあれは全部夢だったのか、と少々残念に思いながら

隣をそっと見ると、雪野さんも焦点のはっきりしない目でぼーっと頬杖をついていた。

もしかして雪野さんも寝ていたんじゃないか。

自分だけ先生にお咎めを受けた不運さにがっくりしたものの

同じ時間に寝ていたというのはなんだかうれしい。

俺の視線に気づいたのか雪野さんはこちらを見て

「へへ」と恥ずかしそうに小さく笑った。

か、かわいい。

この笑顔は夢じゃないよな、と古典的にほっぺをつねる。夢じゃない。

もう今日はこれだけで十分だ、と自分に言い聞かせるように頷いていたら

雪野さんは人差し指をそっと口元に当て

「秘密ね」

とささやいた。

 

雪野さんの言葉にはいつも、胸がどきどきする。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ひさしぶりの三題噺でした。

大変やりやすいお題だったな。

紀久

1年ぶりに会った妹の装いに私は言葉を失った。

オフショルダーのトップスにレースの膝丈スカート、手にはクラッチバッグ

「きくちゃん…それなに…」

やっとのことで絞り出した声に紀久は

「なにってなに」

とめんどくさそうな顔で返した。

「いつからそんな…すぐ破けそうな服を着るようになったのよ」

「はぁ?これが流行ってんの今。芋臭いお姉ちゃんは知らないだろうけど」

「流行りものなんて着たことなかったじゃない。その鞄だって、荷物になるだけでしょう、紐はついてないの紐は」

「うっるさいな、大学生はみんな持ってるよこんなん」

「そんな…本当のきくちゃんはどこに行ったの」

「本当もなにもこれが私だよ!もう行くよ!」

家族にだけ短気な性分は相変わらずだけど、大きな声を出す元気はあることに少し安心した。

ずかずかと歩く紀久のあとをついて何度か歩いた道を進む。

口調は荒いけどこうやって駅まで迎えに来てくれたんだからやさしい妹だ。

もっとも私が紀久のもとに来たのは単なる旅行ではなく、母から頼まれた偵察のためだが。

紀久はおととい、誰にも相談することなく退学届けを出した。

 

 

アパートに着いたころには紀久の機嫌も直り、「ん、適当に座って」と温かいそば茶を淹れてくれた。

ありがとう~と言いながらそれとなく部屋を見渡す。紀久が描いたのであろう作品が所々に大事そうに包まれて置かれていて実際の部屋の広さよりは狭く感じる。それでもやっぱり田舎だと一人暮らしの部屋でも広いのがうらやましい。東京の狭くて散らかった我が部屋を思い出す。

紀久は大学進学のために実家を出たものの、上京はせず、故郷と変わらないくらい田舎の美大に入った。大学から上京しそのまま社会人になった私は、年1回紀久の所に遊びに行くたびに自然に囲まれる生活を羨んでいた。以前、「今って地方へ移住する人も多いって聞くしね、うちの会社もリモートワークとかできたらなぁ」と言ったら紀久は…紀久はなんて言ったっけ。確か唇を噛んで黙っていた。なんで黙っていたのか、そのときは何も疑問に思わなかったけれど、あのときから紀久のなかで何かがからまっていたのかもしれない。紀久は悲しいときに唇を噛む癖がある。

 

「きくちゃん、最近の調子はど―」

「お母さんに言われて来たんでしょ」

隣でそば茶を啜っていた紀久は私の取り繕った会話に付き合う気はないといった調子で言った。私はぎくっとしながら小さくうん、と答えた。紀久は机にひじをつき、ぱさついた毛先をいじり何も言わない。しばらく沈黙が続いたあと

「ぜんぶ、だるい」

と投げやりにつぶやいた。

「だるいって、学校が?」

「ぜんぶ。ずっと横になって暮らしたい」

「うーん、でもそんなんじゃ人生おもしろくないよ?」

「だからそれが」

マグカップがテーブルにドンと置かれ、激しく波打ったお茶はこぼれた。

「だからそれがほんとにだるいんだって」

紀久の顔はかっと赤くなった。

「先生もお母さんもお姉ちゃんも、おもしろいとか個性とか、ほんっとだるい。みんな違ってみんないいって目をきらきらさせて言われても困るの。多様性多様性って叫ぶのは個性を持っている人だけ。お姉ちゃん、特にやりたいことがない人の気持ちとか考えたことある?」

「特にやりたいこと…ってきくちゃんはあるじゃない、絵。だから美術の学校に行ったんでしょ?」

「それを無くしたから退学したの」

紀久は吐き捨てるように言って唇を強く噛んだ。

「平穏に暮らしたいの。おもしろいとかいいから。すぐやめれる仕事就いて男見つけて30までに結婚して子供産んで普通に生きる、それでいい。それがそんなに悪いことなの?」

「そんな、悪くはないよ。でも今の時代、女性だって男性と平等に働いて自立できるように社会は動いていってるしさ、結婚なんて焦る必要ないんじゃない。世間の声に囚われなくていいんだよ。きくちゃんのやりたいことをやっていてほしいなというのが私の願いだけど…」

「じゃあ私のやりたいことはすぐやめれる仕事就いて男見つけて30までに結婚して子供産んで普通に生きることです。以上」

「そ、っか…」

こりゃ母になんて言うべきだろう。昔から紀久は怒りっぽかったけど、私と母に感化されやすくなんでも真似したがる子だった。今までこんな意見の食い違いで言い争ったことはなかった。

「お母さんになんて言うか考えてるんでしょ」

「な、なぜわかった…」

「お姉ちゃんすぐに顔に出る」

私はしばらく考えて紀久の機嫌をこれ以上損ねないよう慎重に言葉を選びながら言った。

「おばあちゃんがさ、厳しい人だったじゃん。だからお母さんは結婚も時代に似合わずお見合いだったし、仕事も公務員しか認めないって言われてたらしいんだよね。それで結局結婚は失敗しちゃったし、仕事ももっとやりたいことがあったのにって昔酔ったときに言ってた。あ、きくちゃんは小さかったから知らないと思う。だからお母さんは自分が持てなかった選択肢をきくちゃんや私に与えたいんだと思うよ。その気持ちはわかる、かな」

「…わかるよ」

「そっか。高卒って働ける場所も限られてくるし、それってこの先の人生の選択肢を狭めることにも繋がると思うんだよね。だから退学は今からでも取り下げにしたほうが―」

「自分が持てなかった選択肢を与えることが、その子の選択肢を広げることになるのかな」

「え?」

「お姉ちゃんは東京でバリバリ働いててさ、すごいよね。しかも広告代理店。お母さんも喜んでるよ、お姉ちゃんはクリエイティブな仕事で日本の未来を作ってる、自己実現がちゃんとできてていいことだ、これぞ生きるってことだって。私もそう思うよ。でも私は違うの。個性個性って繰り返すお母さんとそれにちゃんと応えてるお姉ちゃんに挟まれて、やりたいことがないなんて言えなかった」

紀久は視線を外し、ばつの悪い顔でテーブルの上にこぼれたお茶をテッシュで拭いた。

いつからこんな遠いところに紀久は立っていたのだろう。私と母の後ろを付いてまわっていた紀久。進路希望調査の紙を持ち帰ってきた日、「音楽がやりたい」と言った紀久。ずっと一緒だと思っていた。いや、「ずっと一緒」ってどういう意味だ。私は一緒の考えを持っていることと一緒にいることをイコールにしていないか。

「紀久」

紀久は顔をあげずにもうきれいに拭き終わったテーブルを拭き続ける。

「私は自分の発言を撤回するつもりはないし、正直紀久の言っていることに納得はしてない。でも紀久が今日言ってくれたこと、聞けてうれしかった。もっと思ってること、聞きたいなって思う」

「それがだるい」

「うん…でもやっぱり私からはそういうことしか言えない」

紀久はテーブルを拭いていた手をやっと止め、台所へ消えた。こんなに話してもお互いに一歩も歩み寄っている気はしない。でも、それでいいような気がした。ゴールのない道でゴールを探していたことが間違いだった。

ふと、何分たっても紀久が戻ってこないことに気づき、まさか逃亡と慌てて台所のドアを開くと紀久は二杯目のそば茶を「ん」と差し出した。

商店「七」

近所のセブンイレブンに行った。

なんか小腹を満たすものあるかなと

店内を物色していたら、袋詰めのりんごがあった。

1袋6個、つがるふじ、258円。

コンビニでりんごと少し驚き

でもコンポートによいかも…と見ていたら

近くで棚を整理してたおじさんに

「小ぶりですけど甘みもしっかりあっておいしいですよ」

と笑顔で声をかけられた。

「あ、そうなんですね~」ともごもごつぶやき

1袋手にとりレジに並んだ。

そばには花。

コンビニで花…とまた驚いていたら

「店長のおばあちゃんが育てました」

と手書きで書かれた札が下がっていた。

次のお客様~!と呼ばれ慌ててレジに向かうと

9月1日からおでん全品70円セール!

というボードの横に

「ご自宅の鍋持参大歓迎!」という言葉と

鍋が擬人化したイラストが書き添えてあった。

 

 

多分あそこは「7」という名前の個人商店じゃないか。

 

 

予想を20度ほど上回る心温かい店づくりに戸惑いながら

「明日は家の金鍋持っていくかな…」と考えていた。

卒業式

胸に赤いリボンをつけるのは後輩の役目

3度ほど右に曲がった状態で

後輩は「よし」と言った

「卒業おめでとう」

朝から口々に言われるけど

何がおめでたいのかはわからない

だけど今日確実に最後になることはあって

頑張って感じ入ろうとしたけど

終わりなんてファンタジーのようで

いくら想像してもぼんやりしていた

 

からっぽの机に足がぶつかると

簡単に動いてしまう

もう何もない教室で

寒さだけが存在感をもつ

 

最後の会話、

視線を窓の外へ投げながら

本当は何も見ていなかった

ひとつ机を挟んだ右隣に

君が座っていて

なんて言えば笑ってくれるのか

驚いてくれるのか

悩んでくれるのか

私を、忘れないでいてくれるか

必死に考えて何かを言った

こっちを見向きもしないでつまらなそうに

何かを答えて君は遠くに行ってしまった

遠ざかる背中を

やっと2つの目で見れた

 

私も、私を、忘れて生きていくのだろうか

かっこわるくて下手で無力な私を忘れて

違う誰かと笑いあうのだろうか

 

最後の会話が思い出せない

そんな悲しみもどうでもよくなって

小さくなる君の背中のようにプツンと

消えるのだろうか

金髪

この前人生で初めて金髪にしたんですが、
そのとき色々なことを考えまして。

働き始めたら当分できなくなる
死ぬ前に一度やってみたい
就活終わったしなんかはじけたい

という軽い理由で染めたのですが
まぁーー友達から似合わねーと不評で不評で。
親族でも言わないくらいの言葉を
みなさんズケズケと言うわけです。
私以上に私の金髪について
意見を持っているわけです。
こんなに…気を遣わず話せる関係の
友達がたくさんいて私は幸せだよ…
というところまで思考が飛びました。
(ギャルの友達には褒められましたが)

そこで思ったのが
似合うかどうか/おしゃれかどうか
という軸は身なりの大前提なんだなぁということ。
当たり前か。
でも私は似合うはず!と思って
染めたわけではなく、本当にただの自己満足。
毎朝「わー金髪だー笑」と鏡を見てテンションが
あがったし、満足だったわけです。
だから似合わないと言われても
特に傷つきはしなかったし、友達のことを
悪く思うことはなかった。確かに似合ってはないし。
ただ……


それにしてもすげぇ言うな、と。


そこで身なりってなんだ、と考えたわけです。
身なりは他者へのメッセージとも言われまして。
私の発しているメッセージを友達は
質問と捉え「NO」と言ったまでかもしれなくて。
それどころか「そっちじゃない、違うよ」と
アドバイスをしてくれたかもしれなくて。
はたまた異物に対する嫌悪感かもしれなくて。

そうか。
私はプライベートの髪型や服装は
自己満足のために機能していればいいと
思っていたけど、前提が違っていたんだな。
そう気づいたわけですが、そこからが難しい。


身だしなみはマナーだとしても、
似合うこともマナーなのか。


うーーーん。考えていて結局たどり着いたのが

わりとどうでもいいな。

でした。
そもそも他人の身なりからメッセージ性を
そこまで感じなくてもいいんじゃないか、と。
そりゃ身だしなみは整えるべきだと思うけど
警察にお世話にならないように、
仕事で迷惑にならないように、
風邪を引かないようにしていれば
どうでもいいねっていうスタンスのほうが
お互い疲れないんじゃないかと
「私は」思うわけです。
(完全に非おしゃれの意見だな……)

まぁなにが言いたいかというと、


私と同じような悩みを持っている人。
鏡の前で「よし!」って思えたときの
ときめきをわざわざ否定することはないよ。


ということです。まとまりがないな。

日本文具資料館

この前、両国の日本文具資料館に行ってきました。

お目当てだった相撲博物館江戸東京博物館、花火資料館をはしごして

いやー世の中面白いものがたくさんあるなー!

両国ってさすが住所も「横綱(よこづな)」なんだなー!

と感動しながらフーと一息ついてマップを見ていたとき、

「文具資料館」なる文字を発見しました。

むむ、これは。

 

トコトコと歩いて到着。

浅草橋駅からだと徒歩5分とのこと。

一瞬通り過ぎてしまうほど外観は普通のビルで

おそるおそるドアをあけるとやっぱり普通のビル。

あ、間違えましたーと思っていると受付のおじさんが

「資料館?うんうん、ここに名前書いてね~」と。

入場無料らしいです。ありがたや。

そしておじさんに連れられて奥に進むとそこには―

 

ガラスケースに入った金印!

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列になって並ぶ計算機!

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昭和レトロ心くすぐる看板たち!

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他にもたくさん!!名前さえわからないときめきたちが所狭しと並んでいるわけです!

あまりの衝撃に立ち尽くす私におじさんは

「写真好きに撮っていいからな~」と言って消えました。

ありがとうありがとう、この景色が夢じゃなかったと証明できます。

 

いや待て金印て。社会の教科書おさらいさせて。

と思った方もいるかもしれません。

この日本文具資料館では旧石器時代から文具をおさらいしていきます。

金印で待ったをかけている場合ではないのです。

もうほんと尖った石みたいなのから飾られてますからね、

「いやこれは石やん」

って感じなんですがそこからマッハ早送りで見る文具の進化の素晴らしいこと。

鉛筆、羽ペン、ガラスペン、シャーペンなどなど丁寧な解説文付きで

起源をたどることができるんです。

例えば羽ペンなどは

鷲鳥の翼の外側5枚が筆記に適し、一番よいのは2番目と3番目の羽で生きた鳥から春に抜いたものが良く、左翼の方が好まれた。 

 とのこと。

いつか、言ってみたいなぁ。

 

「やっぱ羽ペンは鷲鳥の左翼にかぎるなぁ~個人的には2番目のが好み」

 

…通すぎるなー!

 

 

あ、最初に名前さえ分からないと言ったやつはこれでした。

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「矢立」という携帯用筆記具とのこと。

筆と墨壺を合わせたものらしいですが、調べたら現在も使われているんですね!?

毛筆による筆記が限定的になった現在の日本ではほとんど使われない。一方、内閣閣議決定閣僚花押による署名を必要とするため、持ち回り閣議では閣僚の署名を集めるために現在も矢立が使われている。(Wikipediaより)

そうなのか~現在のはどんな形をしているんでしょう。

展示されていたのはシンプルな装飾がほどこされている

きれいなシルエットの矢立でした。

 

 

 

お次はこちら。

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Perfumeのジャケ写…?

ファンの方、異論ありましたらすみません(ちなみに私もPerfumeファンなので仲良くなりましょう)。

洗練された雰囲気はディスプレイの仕方もあるとは思いますが

なによりもこの姿の美しい…シャ、シャープペンシル!?

なんだかシャーペンって気軽に略せないオーラを放っていますね。

このときのシャープペンシル開発者さんと今の開発者さんを会わせたいなー。

クルトガだけで3時間くらい盛り上がりそうではないでしょうか。

そして私はそれをそばで聞いていたい…。

 

 

てな感じで他にももっとたくさんある

(タイプライター、インク、鉛筆の懸紙…)のですが、

解説付きで生で見るのが一番なのであとは行ってからのお楽しみということで。

 

あ、そうそう出口付近に等身大の万年筆と鉛筆がありました。

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二本に挟まれて記念撮影すると楽しいです。

インスタ映えもばっちり!

 

いやー本当に素晴らしかった日本文具博物館。

文具は一番身近な美術品なんだなと思いました。

機能美を突き詰めたものもあり、骨董品として機能しているものもあり。

一般人が日常生活で使うものだって

手に持つ人の心をちょっと嬉しくする仕掛けがかわいい。

改めて文具への思いが深まりました。

 

帰りに何かグッズを買って運営に貢献できないかと思ったのですが

残念ながらグッズ販売はしていないようで。

それどころか受付のおじさんから「記念品ね!」と

フリクションのマーカーを頂きました。

 

なぜ!?!?!?

 

あんなに写真を撮りまくったのに

すべてが夢だったのではと疑ってしまうような体験。

大きな空間に厳かな雰囲気で!って感じではないですが

ぎゅぎゅっと古いかわいいものたちが並べられている空間で

静かにやさしい気持ちになれます。

もし気になったらぜひ足を運んでみてください。

文具資料館

 

 

ほくほくしながら両国駅まで向かう途中、

すれ違うお相撲さんたちがいい匂いすぎてびっくり。

そうかお相撲さんの町だもんね。でも他にもたくさんいい思い出ができました。

そして駅の横に立っていた看板をふと見ると

住所は「横綱(よこづな)」ではなく「横網(よこあみ)」でした。

 

今日も

今日もつらいですね。
毎日うれしいこと、苦しいこと、そのどちらでもないことに包まれてそれなりに幸せで、そしてつらいですね。
友達と大笑いしながら海沿いをドライブ、海だー!なんて言いながらどこも見てない瞬間がありますね、つらいからです。
仕事終わりに夜道をとぼとぼ歩いて「これでいいんだ」とか意味ありげにつぶやいてみても全くよくないですね、つらいからです。
身がねじれるようなとか、気を失いかけるほどとかいう言葉がつけられるような気持ちではないですね、流れていく製品にひたすらはんこを押し続ける仕事があるとしたらそれに近い、淡々とつらいのです。べっとりとした赤いインクで「つらい」と押し続けている、そんな気分です。そしてそんな商品はどこに需要があるのでしょうか、ありません。しかしどういうわけか廃棄もできないのです。いつか訳あり品として世に出せたらいいですね。ところでみなさんは今までの人生で「いつか」が来たことがありますか。私はありません。

つらいですね。
それを認め続けるのです。
私はつらい。
他の人には乗り越えられるとしても、友達に相談したら一蹴されるとしても、どうでもいい。

つらいんですよ。